生理前に食欲が増すのはなぜ?
生理前に食欲が増加するのは、ホルモンバランスの乱れが大きな原因です。最初に、生理に関する女性ホルモンの働きと、食欲増加に影響するその他の要因を見ていきましょう。
生理前の食欲に関係する2つの女性ホルモン
生理前の食欲変動には「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が深くかかわっています。エストロゲンは過剰な食欲を抑え、プロゲステロンは妊娠に備えてエネルギーを蓄えようとする女性ホルモンです。
2つの女性ホルモンは、生理周期に応じて分泌量が変化します。生理周期とは、生理が始まった日から次の生理が始まる前日までのサイクルです。通常は25~38日とされ、「卵胞期・排卵期・黄体期・月経期」の4つの時期に分けられます。
生理後の卵胞期は食欲を抑えるエストロゲンの量が増え、心身ともに安定しやすい時期です。しかし、生理前の黄体期になるとエストロゲンは減少し、プロゲステロンの量が増加します。プロゲステロンは栄養や水分を蓄えようとするほか、血糖値を下げる「インスリン」の効きも悪くするため血糖値の変動が大きくなり、食欲が増加しやすくなるのです。
生理前の食欲に影響するその他の要因
エストロゲンには自律神経を安定させる役割があり、「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンの分泌や働きにも深く関係しています。セロトニンは不安やイライラを抑えたり、食欲をコントロールしたりする働きも持っています。
しかし、生理前にはエストロゲンとともにセロトニンの分泌量も減少するため、気持ちが落ち込みやすくなったり、わけもなくイライラしたりと、精神的に不安定になりがちです。特に、甘いものを食べるとセロトニンが分泌され、一時的に不安感が軽減されることから、つい食べ過ぎてしまうことがあります。
また、生理前の黄体期に入ると、低温期に比べて基礎体温が0.3~0.6度程度上がります。本来、私たちの体は、日中の活動時には体温が高く、睡眠中には下がることで深い睡眠を得られる仕組みです。しかし、生理前は夜になっても体温がスムーズに下がらず、睡眠の質が低下しやすくなります。
睡眠不足になると、食欲を抑えるホルモン「レプチン」の分泌が減少し、反対に食欲を高めるホルモン「グレリン」の分泌が増加するため、食欲が増してしまうのです。
生理前の「止まらない食欲」との付き合い方
生理前の食欲増加は、生理周期に関するホルモンバランスが大きな要因のため、ある程度は仕方のないことです。我慢し過ぎず、ちょっとした工夫でうまく乗り切ることで、ストレスを溜めずに過ごせるでしょう。
ここでは、生理前の止まらない食欲との付き合い方を「食事編」と「生活編」に分けてご紹介します。
食事編
まずは、毎日の食事でできることから見ていきましょう。
1回の食事の量を減らし、回数を増やす
食事の間隔が空き過ぎると血糖値が下がり、強い空腹感を覚えます。そのため、次の食事で早食いになったり、必要以上に食べたりしてしまいがちです。
また、一気に食事を摂ると血糖値が急上昇し、それを下げるためにインスリンが大量に分泌されます。インスリンには、血中の糖をエネルギーとして細胞に取り込む働きがありますが、過剰に分泌されると使い切れなかった糖が脂肪として蓄積されるため注意が必要です。
食事の回数を増やすと血糖値が安定しやすくなり、暴飲暴食を防ぐ効果が期待できます。ただし、単に回数を増やすだけでは結果的に1日の総摂取カロリーが増えてしまい、逆効果です。トータルの食事量を意識して、1日分を複数回で摂るなど、小分けにすることを心がけましょう。
バランスの良い食事をよく噛んで食べる
生理前の過食を防ぐには、バランスの良い食事を心がけ、よく噛んで食べることが大切です。
献立では主食(炭水化物)、主菜(たんぱく質)、副菜(ビタミン・ミネラル・食物繊維)を意識するとバランス良く栄養を摂れるため、過剰な食欲の抑制につながります。
また、よく噛む行為は脳の満腹中枢を刺激します。そのため、玄米や雑穀米、根菜、きのこ、ナッツなどの噛み応えのある食材を取り入れたメニューがおすすめです。20分以上かけてゆっくり食べれば、適量で満腹感が得られます。
低カロリーなおやつを用意しておく
「生理前の食欲をどうしても抑えられない……」というときのために、低カロリーで栄養価の高いおやつを用意しておくのも一つの方法です。我慢し過ぎてストレスを溜めると余計に食べ過ぎてしまうこともあるため、食べてもよいもの、避けたほうがよいものを理解して、上手にコントロールしましょう。
ヘルシーで太りにくいものであれば間食をしても罪悪感が少なく、健康的に小腹を満たせます。反対にスナック菓子や甘いお菓子などは、特に生理前は買い置きしないようにしましょう。
具体的な摂るべき食べ物、避けるべき食べ物は、のちほど詳しくご紹介します。
生活編
食事だけではなく日々の生活習慣を見直すことも、生理前の食欲対策に有効です。ここでは、暮らしのなかで簡単に取り入れられる方法をご紹介します。
生理周期をもとに、食欲が増す時期を把握する
一般的に、排卵後から生理前にかけての黄体期は、女性ホルモンの一つであるプロゲステロンの影響で食欲が増加しやすくなります。生理周期には個人差があるものの、28日周期の場合、生理開始から約14日後が排卵日の目安です。
ご自身の生理周期を把握すると「そろそろ食欲が増す頃だな」と予測がつくため、心の準備ができて冷静に対処しやすくなるでしょう。
軽い運動をする
生理前の食欲をコントロールするには、軽い運動も効果的です。私たちの体には、呼吸や血圧、心拍、消化などにかかわる2種類の自律神経があります。副交感神経が優位なときは食欲が増加し、反対に交感神経が優位なときは食欲がわきにくくなる仕組みです。運動をすると交感神経が優位になるため、一時的に胃腸の働きが穏やかになり、食欲を落ち着かせる効果が期待できます。
また、適度な運動はストレス解消にもつながります。散歩やストレッチ、ラジオ体操やスクワットなど、手軽にできるものから取り入れてみてください。
睡眠環境を整える
先にご紹介したように、睡眠不足は食欲増加を起こす可能性があります。生理前は特に寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりするため、心地良く眠れる環境を整えましょう。
具体的には、以下のような対策がおすすめです。
- 就寝3時間前までに夕食を済ませる
- 寝る前にカフェインやアルコールを摂らない
- ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる
- 好きな香りや音楽でリラックスする
夜は体の負担になる食事は控え、心と体をゆっくり休ませましょう。
食欲を抑えるツボを押す
手軽にできる食欲対策として、ツボ押しもおすすめです。例えば、耳の穴前方の小さな軟骨(耳珠)の付け根あたりにある「飢点(きてん)」というツボを押すと、過剰な食欲を抑える効果が期待できます。食事の15~30分前に、左右同時に1~2分ほど押しておくとよいでしょう。
また、手のひらの親指の付け根から手首にかけて広がる「胃・脾・大腸区(い・ひ・だいちょうく)」というエリアは、消化器系の働きを整え、食欲を正常化するのに役立ちます。生命線の下側に沿うようにマッサージを行なってみてください。
生理前や生理中に摂りたい食べ物・避けたい食べ物とは?
ここからは、積極的に摂りたい食べ物と、なるべく控えたい食べ物をご紹介します。どうしても我慢できないときの食事選びの参考にしてください。
生理前や生理中に摂りたい食べ物
生理前や生理中の食べ物でおすすめなのが、納豆や豆腐、豆乳などの大豆製品です。大豆に含まれる「大豆イソフラボン」にはエストロゲンと似た働きがあり、ホルモンバランスを整える効果が期待できます。ヨーグルトや飲み物にきな粉を加えたり、おからを使ったおやつを用意したりしておくと手軽に摂取できます。
また、アーモンドやくるみなどのナッツ類もよいでしょう。ビタミンやミネラルなどが豊富に含まれており、噛み応えがあって少量でも満足感を得やすいため、小腹を満たしたいときにぴったりです。
生理前や生理中は、むくみやすい時期でもあります。むくみ対策には、カリウムを多く含む食べ物がおすすめです。カリウムには体内の余分なナトリウム(塩分)や水分を排出する働きがあります。フルーツや芋類、豆類、海藻、野菜類などに多く含まれているため、積極的に摂りましょう。
生理前や生理中に避けたい食べ物
生理前や生理中に避けたいのは、塩分の多い食べ物です。生理前はただでさえむくみやすい時期のため、塩分の摂り過ぎによって症状を悪化させる危険性があります。塩分の多いスナック菓子やインスタント食品、ファーストフードなどは避けたほうがよいでしょう。
ケーキや揚げ物などの甘いもの、脂っこいものも控えたい食べ物です。甘いものの摂り過ぎは血糖値を急激に変動させ、イライラや疲労感を引き起こすことがあります。また、脂質の多い食事は、ニキビなど肌荒れを起こす可能性があります。
コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインも、摂り過ぎは禁物です。カフェインは睡眠の質を低下させるだけではなく、血管を収縮させる作用もあるため、過剰に摂取すると生理痛を悪化させかねません。
生理前の食欲に悩むのは私だけ?
「生理前に食欲を抑えられなくなるのは私だけなのかな」と不安に思う方もいるかもしれません。ここでは、生理前の食欲に関する一般的なデータと、症状が強い場合の対処法をご紹介します。
生理前の食欲を自覚している人は多い
実は、生理前に食欲が増加してしまう女性は少なくありません。この時期の食欲増加は、女性ホルモンの影響による体の自然な反応です。また、対処法として「我慢せずに食べることが多い」という人もいますが、これも自然なことです。
「また食べ過ぎてしまった ……」と自分を責めず、ぜひこれまでにご紹介した対処法を試しながら、上手に乗り越えることを考えてみましょう。
生理前の食欲やPMS症状が強い場合は婦人科の受診を
あまりにも強い食欲や、ほかにもつらい症状がある場合は「PMS(月経前症候群)」の可能性があります。PMSとは、生理が始まる3~10日前から表れるさまざまな不調のことで、生理が始まると症状が和らぐのが特徴です。
具体的な症状としては、食欲増進のほか、イライラや気分の落ち込みといった精神的なものから、お腹や胸のハリ、頭痛、むくみなどの身体的なものまで多岐にわたります。
気持ち悪くなるほど食べ過ぎてしまう、食欲以外の症状もつらい場合は、一度婦人科を受診してみるのもおすすめです。
はき心地の良い生理用ショーツで、生理のストレスを減らそう
生理の憂鬱な時期を少しでも快適に過ごせるよう、はき心地の良い生理用ショーツをそろえておくのもストレス対策に効果的です。最後に、シャルレのおすすめショーツ3点をご紹介します。
替えのナプキンが入れられる、生理用ショーツ(ポケットつき)
日中もアクティブに過ごしたい方には、便利なポケットつき(同色2枚組)の生理用ショーツがおすすめ。お腹の内側にナプキンをしまえるため、周囲に気付かれにくいのがポイントです。
綿混素材の優しい肌あたりと、伸縮性のある生地でずれにくく、快適に安心して過ごせます。吸汗・吸湿性があってムレにくく、制菌加工で気になるニオイもケアします。デビュー以来、デザインや色を変えながら40年以上愛され続けている、シャルレのロングセラーアイテムです。
また上浅めのボトムでも安心、生理用ショーツ(ヒップハングタイプ)
股上浅めのボトムスをはく日には、ヒップハングタイプの生理用ショーツが活躍します。サイドから後ろにかけての足口にはストレッチレースを使用し、アウターに響きにくいすっきりとしたデザインです。
ウエストのテープ部分は裏側パイルになっており、デリケートな時期にも優しい肌あたり。ニオイのもととなる菌の増殖を抑制する制菌・消臭加工つきで、生理中でも気にせず外出できます。
安心して眠れる、生理用ショーツ(夜用)
特に経血量が多い日や就寝中のモレが心配な夜におすすめの夜用生理用ショーツです。羽根つきナプキン対応の二重マチがあり、後ろウエストまで伸ばした防水布でカバーするため、安心して眠れます。
前側の足口にラッセルレースを使用したややハイレッグタイプで、睡眠中も足さばきが良く、動きやすいのもポイント。お腹周りもすっぽり包み込みます。
シャルレのウェブストア
心と体に優しく、生理前の食欲とうまく付き合おう
生理前のどうしようもない食欲は、ホルモンバランスの変化をはじめとするさまざまな要因が影響しています。食欲の増加は多くの方が経験していることであり、もし食べ過ぎたと思っても生理後に調整すればカバーできるため、気にし過ぎる必要はありません。
食事の工夫、生活習慣の見直しなど自分に合った対策を取り入れて、無理せず上手に食欲と付き合っていきましょう。