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お尻すっぽりデイリーショーツ──変わらない心地よさを届ける舞台裏

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ロングセラーの多いシャルレインナーの中でも、1977年の発売以来ほとんど形を変えず、世代を超えて愛され続けてきた「お尻すっぽりデイリーショーツ」。

2025年にリニューアルの機会が訪れました。愛用者の声に改めて耳を傾け、そこでもあえて「大きな変更を加えない」という選択をした背景と、長年選ばれ続ける理由について、インナーマーケティング・開発課の担当者に聞きました。
ロングセラーの多いシャルレインナーの中でも、1977年の発売以来ほとんど形を変えず、世代を超えて愛され続けてきた「お尻すっぽりデイリーショーツ」。

2025年にリニューアルの機会が訪れました。愛用者の声に改めて耳を傾け、そこでもあえて「大きな変更を加えない」という選択をした背景と、長年選ばれ続ける理由について、インナーマーケティング・開発課の担当者に聞きました。

試行錯誤を繰り返した誕生当時

肌に一番近い存在のインナーだから着心地の良いものをお届けしたい、という想いで開発されてきたシャルレのインナー。おかげ様でご愛用者の口コミで広がっていくことも多く、リピートいただけることから、5年、10年、20年…と続くロングセラー商品はたくさん存在します。そんな中でも、ダントツの存在感を放つのが「お尻すっぽりデイリーショーツ」です。世代を超えて愛され、受け継がれている商品です。発売以来ほとんど変更点がなく、細部にこだわるシャルレのものづくりへの姿勢を象徴するアイテムでもあります。1977年の発売前には、創業者の一人である林宏子がモニターになり、何度も改良を重ねたという逸話が語り継がれています。

発売当時のメリヤス編み生地は伸び縮みの誤差が大きく、また工場もメーカーもそれを「仕方ない」としていた時代。そんな中で、担当者は何度も工場に足を運び、指定したM寸、L寸の許容範囲内ですべて仕上げてもらうよう、品質意識の共有を徹底しました。当時の常識を塗り替え、開発当初から糸、生地、裁断、縫製、染色といった工程のすべてに細かいこだわりをもって仕上げた「お尻すっぽりデイリーショーツ」は、その後、ほとんど形を変えることなく約半世紀近く愛されるショーツになりました。

しかしその裏には、変化する繊維業界の中で、変わらない品質、はき心地を守り続けようとする挑戦がありました。

工場とともに歩んだ、二人三脚のロングセラー

「タイ工場での一貫生産に踏み切ったのは2005年。今では当たり前ですが、当時は海外生産がまだ少なかったこともあり、こちらも工場側も探り探りの中で進められました。生産工場が変わったからといって品質が変わってはいけない。まずはそれまで日本で生産してきた糸(綿やFTY)となるべく近い糸を生産できる工場を探すところからスタートしました」(開発担当者 福永)

日本と気候が違うため、染色工程では染料の選定が一から見直されました。気温や水質で染まり方が違ってくるため、決定した色に仕上がるよう染料の種類、量などを細かくチェック。色が決まっても年間の気候の変動で、同じタイの工場で染めても季節によって染まり方が変わります。そのため、毎回調整が必要で、その調整は現在でも行われ続けています。

裁断や縫製といった技術面については、シャルレ品質に基づいて徹底的に指導と相互理解のための対話が工場責任者との間で繰り返されました。製造工程に関わる技術面での指導はもちろん、シャルレの販売方法、想いについての継承も行われたといいます。

「『シャルレの商品は売り切りではありません。人と人とのリアルなつながりの中で、お客さまの毎日をより素敵に彩る商品をお届けしています。そんな中でよくないものを販売してしまうと、長年積み上げてきた信頼を失ってしまいます』。そういったことを、タイの工場責任者にしっかりと理解してもらうよう努めました」(開発担当者 福永)

そのかいあって、責任者から現場へとしっかりと啓蒙がなされ、以来、高い意識と技術をもった人たちが生産を担ってくださっています。中にはこのショーツの縫製だけを担当している工場勤務歴30年のベテラン職工も。

「この1つのショーツには、9工程ものミシンが使われています。ラインごとに必ず1人ベテラン職工がつき、工程ごとに品質をクリアしているかがチェックされます。例えば、縫製の端を自動でカットするミシンでは、切れ端のカット幅は2ミリが正解。1ミリや3ミリになっていないか、ラインの責任者がチェックし、そのような切れ端があると縫い方の指導が入ります。各工程で同様の細かい品質管理を徹底するために、過去にはシャルレ品質を熟知しているリーダーを招き、品質の啓蒙及び指導を行ったと聞いています」(開発担当者 福永)

シャルレの中でも特別な存在である超ロングセラーショーツは、何十年にわたりシャルレと工場とが技術の継承を続ける、結晶のようなものかもしれません。

リニューアル検討時の調査結果に社員も驚き

「このショーツ最大の愛されポイントは、お腹とお尻をまるごと包み込むフィット感、そしてなめらかな素材感。特にヒップかぶりは、『動いてもずれ上がりにくい』と喜ばれています」(マーケティング担当者 平野)

長く愛されてきた「お尻すっぽりデイリーショーツ」ですが、これほどの定番商品でも、定期的にリニューアルを検討する機会は訪れます。

「せっかくリニューアルするなら、もっと大きく変えたほうがいいのではないか。社内からはそんな意見が出ることがあります。でもいざリニューアルをしようと、お客さまや、お客さまに商品を伝えてくださっている代理店や特約店の声を調査すると、不満点はほとんど出てこなかったのです」(マーケティング担当者 平野)

実際の調査では、「はき心地は絶対に変えないでほしい」という声が圧倒的でした。包み込まれるような安心感、ずれにくいフィット感。ご愛用者からはこんな声が寄せられています。

「肌ざわりがよくてなめらかにフィットするところが好き」
「20年近く愛用しています。綿混率が高い肌ざわりがお気に入り。これ以外のショーツはもうはけません」
「身体にフィットしてはいている感じがしない、ストレスの少ないはき心地が好き」
「わき縫いがないので肌あたりが良く、安心」
「大きいサイズがあるのがうれしい」

「意外だったのは、『贈ると喜ばれるのでプレゼントとして重宝している』というお声。それも少数派ではなく、結構な数のお客さまから同様のお声をいただきました。どちらかというと実用性重視で、贈答用の華やかでおしゃれな印象ではない商品だと思うので、これは担当者一同、意外でした」(マーケティング担当者 平野)

「3枚組のため、自分用に2枚、1枚をプレゼントにするといった声も多く、本当に好きなものを相手にもおすすめしたい、という想いがアンケート調査からも伝わりました。だからこそ超ロングセラー。リニューアルにあたっても、きちんとそこを意識して開発を進めないといけないと気を引き締めました」(開発担当者 福永)


変えない勇気、変わらないまごころ

社員から「もっと変えた方がよいのではないか」という声が上がりながら迎えた2025年のリニューアル。調査を進めるうちに担当者全体に、「変えない勇気」も必要という意識が浸透していました。これまでも「お尻すっぽりデイリーショーツ」は、大きな変更はなく小さな改良を重ねながら守り続けられてきました。その背景にシャルレのものづくりに対する一貫した姿勢があり、それこそがお客さまに選ばれてきた理由がある、と改めて気付くところがありました。

「変えてはいけない部分は守る。その勇気を持つこと」
「本質は変えず、より心地よくはいていただくための変更はする」

その想いを意識しながら、慎重にリニューアルポイントを再検討。その結果、①ウエストレース柄のリニューアル、②後ろ側上部の縫い目を寝かせて肌あたりをより良くする、③プリントネームを使用せず生地に直接プリントをする、という3点をリニューアルポイントとしました。


「わずかな縫い目の立ち上がりが不快だと感じる方がいる。だからその縫い目をさらに短くして、立ち上がりも押さえる工程を追加しました。小さな違いですが、快適さに直結する部分です。

工程としては一工程増えるのですが快適さはプラスしたい。お客さまの毎日の暮らしに常に寄り添い続ける商品だからこそ、価格、品質、洗い替えを考慮した組み枚数、すべてに配慮したものでありたい。3枚組の微妙な風合いや仕上がりのわずかな違いまでを考慮して、似た商品同士をセットするような工程も組み、はき心地の違いが出ないよう配慮しています」(開発担当者 福永)

変わらない基本設計の上に、細部の工夫や配慮を積み重ねていく。その積み重ねが、「変わらないまごころ」としてお客さまに届くことを祈って・・・

担当者の想いとは

最後に、マーケティング、開発、それぞれの仕事から想うことを語ってもらいました。

「マーケティング課では、もちろんトレンドを取り入れたスポット商品の開発もしています。新しいものを出すことも大切。でも、長年愛されているものを変えずに守ることも同じくらい大切。両方を見極めながら商品をお届けするのが私たちの役割だと思っています」(マーケティング担当者 平野)

「長く愛されている商品だからこそ、開発者や生産工場で働く人の想いはただひとつ、「お客さまのために」です。長い年月の間に歴代多くの人達が携わってきた商品ですが、この想いは共通し、変わらない品質を守り続ける努力ができていることに、誇りを感じます」(開発担当者 福永)

プロフィール

シャルレ編集部

美容・健康・ライフスタイルに関する最新情報をITSUMOTTO(いつもっと)でお届けするため、日々さまざまなコンテンツを制作しています。すべての女性が自分らしく輝けるよう、多角的な視点から価値ある情報を発信し、皆さまの人生に寄り添い、毎日の暮らしをより豊かにするために取り組んでいます。
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