お話を聞いた人:ビューティケアマーケティング課Aさん、ビューティケア開発課Mさん(以降、マーケA、開発M)
「エタリテ」に新シリーズが誕生
編集部:今回、「エタリテ」の14年ぶりとなる新シリーズから、新商品が発売となりました。ローションということですが、まずは “保湿”にフォーカスした理由から教えてください。
マーケA:「エタリテ」はこれまで、年齢や肌悩みに応じたエイジングケアや透明感ケアなど、比較的“目的がはっきりした”シリーズを展開してきました。おかげさまで、それぞれのシリーズで評価をいただき、多くの方々に愛されるブランドに育てていただきました。さらに喜んでいただけるブランドにしていくため、市場の動向・変化を調べました。一般消費者のスキンケアに対する満足度を調査してみると、
「いろいろ使ってきたけれど、今のスキンケアが本当に合っているのかわからない」
「気に入って使っていたのだけれど、最近、化粧崩れがしやすくなった」
「頑張って続けているのに、以前ほどの手応えを感じられない」
といった声が増えていたんです。
編集部:スキンケアに対する“迷い”が広がっている感覚でしょうか。
マーケA:そうですね。さらに深掘りしていくと、季節の変わり目に肌状態が不安定になり、それを改善しようとさらにあれこれ別のアイテムを試しておられる方が多いことがわかりました。そうやってアイテムを増やしてケアを重ねても、悩みが解消されない……。調査結果から、一般消費者のそんな様子がうかがえました。この状況を踏まえた上で、今あるシャルレのスキンケアシリーズがフォローしきれていないスキンケアの“エアポケット”がどこにあるのか、部内でディスカッションを進めていきました。
編集部:そんな中、化粧水という利用率が高いアイテムを投入されたのは、新しいターゲット層にアプローチしたいという狙いもあったのでしょうか?
マーケA:まさにそれが、今回新たな商品を投入する一番の狙いです。化粧品業界全体をみると、市場は高価格帯と低価格帯への二極化が進んでいます。それぞれのカテゴリで魅力的なアイテムが次々と発売され、お客さまは「自分にはこれがいい!」と感じて購入されるものの、しばらく使用するうちに満足感が低下してしまう。そんな調査結果が出たので、このような方々にもスキンケアの新たな価値を感じていただけるような商品を生み出したいという想いがありました。また、販売いただいている代理店・特約店の方々へのヒアリングでも、物価高が家計を圧迫している現状の中、手にとりやすい価格帯へのニーズはこれまで以上に高まっていることを実感しました。
編集部:特定の悩みにアプローチするアイテムではなく、“保湿”という基本を見つめなおすための商品というところが新鮮でした。
マーケA:スキンケアの満足感、つまり自分の肌が“整っている”と実感できる状態というのは、やはりうるおいできちんと肌が満たされているかどうか、が基本です。そこで、今回は“基本を見つめなおすローション”として、保湿に特化した保湿液を発売することにしました。気に入って愛用しているアイテムを使い続けているのに、満足感が低下するというのは、気候などの外部環境の変化も要因として考えられます。季節の変わり目には不安定な「ゆらぎ肌」状態に陥りやすくなります。「ゆらぎ肌」とは、季節の変わり目はもちろん、環境の変化やホルモンバランスの変化などで一時的に肌に不調が起こる状態です。そんなとき、早く元の状態に戻したい焦りで、十分にうるおいで満たされないまま高機能スキンケアに変えてみたり、あれこれ使うアイテムを増やして重ねづけしてみたりする方が多いのですが、実はそれが逆効果になっているケースもあるんです。そんなときは、まずは基本のスキンケアを見なおしてみていただきたいと思います。
より自然に、美しく。世界に広がるクリーンビューティーという考え方
編集部:商品開発のコンセプトはどのように決まっていったのでしょうか。
開発M:エタリテ ナチュレスの大きな特徴が「人と自然にやさしい」商品であることです。これまでシャルレでは「肌へのやさしさ」と「機能性」を追求したスキンケアシリーズを展開してきました。実際にそのどちらも実感いただけていることがユーザーのお声からも確認できています。その一方で、近年、美容業界の世界的なトレンドとして「クリーンビューティー」というキーワードが注目されています。この言葉はアメリカから徐々に広がり、2020年頃には世界で認知されるようになりました。このような社会的背景から、今回の商品開発では「自然へのやさしさ」も深掘りしたメッセージをお客さまに届けたいと考えました。そのためには、どのようなコンセプトなら今あるシャルレのスキンケア商品を否定せず、お客さまに受け入れていただけるのか。検討を重ね、今ある商品との差別化ポイントを探り、コンセプトを練っていきました。
編集部:開発Mさんは日頃から海外の情報も定期的に入手されているんですか?
開発M:はい。日本と海外の化粧品開発に関する情報を定期的に入手しています。今回、自身が新商品開発に携わるにあたり、シャルレの企業としての社会的責任を考え、商品の機能性や使用感のよさ、ブランドの世界観だけでなく、環境への配慮にも取り組んでいくべきだという想いを強くしました。
マーケA:その点については、プロジェクト発足当初からチーム内の見解は完全に一致していました。クリーンビューティーの視点で新商品の開発を行うということについて、早い段階でチームメンバーの意識が自然な形で同じベクトルに向いていたと思います。
日本の自然素材、厳選された成分。エタリテ ナチュレスのアイデンティティとは
編集部:商品開発の方向性が決まって、最初に取り組まれたことは?
マーケA:まず取り組んだのは、「エタリテ」の今あるシリーズを客観的にとらえ直し、整理することでした。「機能性」と「しっとり感」の2軸でポジショニングマップを作成し、価格帯も踏まえた上で、新商品をどう位置づけるのか、何を目指すか、について部内の意識共有を図りました。
開発M:私の方では、まず今あるシャルレのスキンケア商品と市場の化粧水の調査を進めていきました。市場の商品では、主に敏感肌向けの化粧水を試し、独自に作成したチェック表で評価しました。シャルレ商品も同様に評価を行い、肌なじみの良さや摩擦感のなさ等の使い心地、しっとり感やべたつきのなさ等の仕上がり感を比較して、目指す使い心地や仕上がり感を探索しました。その結果、「摩擦感のない塗り広げやすさ」「みずみずしいうるおいベールに包まれるようなしっとり感」が「やさしさ」を表現できると考え、目標としました。
編集部:たくさんの化粧品を評価される中で、どのような気づきがありましたか?
開発M:私たちが今回の商品開発で目指した「やさしさ」を表現している商品は、あまりないということが第一の気づきでした。市場の敏感肌向け化粧水は、しっとり感が高い一方で、つけた後に少しベタつきが気になるものがほとんどの印象でした。これには理由があり、化粧水の処方では、一般的にしっとり感を出すために油分などの残り感を出すための成分を配合しますが、肌表面に膜感が出て、どうしてもベタつくように感じることがあります。逆に、水っぽいテクスチャーで十分な保湿効果を感じなかったり、印象に残らない使用感のものも結構ありました。
編集部:具体的に成分も調べたりしたのですか?
開発M:市場調査を行う際、配合されている成分についてはもちろん、成分の数もチェックしました。成分が多いこと自体は決して悪いことではありません。ですが、成分数が多くなればなるほど、組み合せによって肌に「刺激」として感じてしまう方も増えてしまいます。今回は「肌にやさしく、自然にやさしい」ことを目指したので、成分数を絞ろう、と決めていました。今あるシャルレの化粧水で、最も成分数が少ないものは20成分なのですが、今回は、商品特長を15成分以内で叶える処方を目標としました。
編集部:お話から受けた印象ですが、今回の開発ミッションは、「クリーンビューティー」という新しい概念の枠組みの中で、なおかつ「試しやすさ」や「摩擦感の少ない塗り広げやすさ」「みずみずしいうるおいベールに包まれるようなしっとり感」を「15種類以内の成分処方」で実現するという、なかなかハードルの高いものだったように思えます。
開発M:そうですね。余談ですが、私は前職も含め、これまでにスキンケアアイテムとメイク品合わせて5000個以上の化粧品の評価をしてきましたが、今回の開発のために、今あるシャルレのスキンケア商品を改めて評価し、その完成度の高さを再確認できました。そんな中での新商品開発なので、自ずとハードルが高くなるのは仕方がないですね。諸先輩方が商品に込めたこだわりの精神を受け継ぎながら、自分の想いを結晶化できるように頑張りました。納得のいくみずみずしい使用感としっとり感の高さ、摩擦感を極力抑えたやさしい使い心地を、よいバランスで実現させることができました。こだわり抜いた使用感を、ぜひ多くの方に体感していただきたいです。
エタリテ ナチュレスシリーズに込めた想い
編集部:開発の上で一番難しかった工程はどの部分でしたか?
開発M:目標とした使用感をいかに実現させていくかという実行の部分です。製造メーカーとの最初の打ち合わせからしつこいぐらいにすり合わせを行いました。感じ方には個人差があるので、「ペタペタ」「ベタベタ」など擬態語を駆使しつつ、「この擬態語はこういう状態のことです」と細かくイメージを共有し、処方検討を依頼しました。
マーケA:開発を進める中で、すごいなと思ったのは開発Mさんの肌感覚の鋭さとその表現力です。使用感の繊細な違いをどう表現するか、というのは商品の仕上がりイメージを左右するとても重要な要素。そこがすごく長けていると思いました。私の語彙力では「こういうときの感じが、ちょっと微妙に違う」としか実感・表現できないような些細な違いを、敏感に感じ取り、それを相手に伝わるようにしっかりと言語化して、製造メーカーに伝えることができたからこそ、求める使用感が早期に実現できたと思います。
開発M:今回、コンセプト成分として、ソメイヨシノ葉エキスとスイゼンジノリ多糖体を採用しているのですが、これは商品コンセプトやストーリー性、成分の働きなどをくまなく検討した上で選定しました。求める機能を持ちながら、「桜」と「海苔」という日本人にとってなじみ深い素材は、ユーザーに安心安全を感じてもらいやすいだろうと考え、この2つの成分は割と早い段階から配合を決めていました。「しっとりするのにベタつかない」使用感の実現には、このスイゼンジノリ多糖体が重要な役割を担っています。水分をしっかりと抱え込む分子構造で、高い水分保持力が特長です。
編集部:確かに日本由来の素材は何となく安心感がありますね。では逆に、使用しないと決めた成分はありましたか?
開発M:化粧品の成分として悪いというわけではないのですが、エタノールが入っている化粧品を使えないというユーザーの声が届いていたので、今回はエタノールフリーの処方を採用しました。成分としては、先ほどのソメイヨシノ葉エキス、スイゼンジノリ多糖体の他、12成分を厳選し、目標としていた15成分以内を実現し、14成分で商品として完成させることができました。
編集部:容器やパッケージなど、商品の成分以外にもこだわったそうですね。
マーケA:環境への配慮という観点からいうと、容器には再生可能な素材を使用し、構成パーツを減らすためにポンプタイプではなくフタと本体が一体化したキャップを採用しています。
また、パッケージは国際的な森林認証制度であるFSC認証と、非木材資源であるサトウキビの搾りカスから作られたことを証明するバガスマークを取得しています。できることには少しでも取り組むという姿勢で、パッケージに使用するインクもベジタブルオイルインキ(再生産可能な植物由来の油を原料としたインキ)を使用しています。今あるシャルレの化粧品の中にもこれらの認証を取得できるものがありますが、正式に企業の社会的責任を示す商品として、シャルレの化粧品で初めて、エタリテ ナチュレスのパッケージ側面に3つのマークを表示しています。
編集部:デザインも今までのシリーズとは異なるイメージですね。
マーケA:商品内容が決まり、商品名をどうしようかという段階で、エタリテというシリーズネームと、新商品としてのコンセプトを鑑み、「ナチュレス」という名前に決定しました。これはフランス語で「自然」という意味をもつnature(ナチュール)と、「やさしさ」という意味のgentillesse(ジャンティエス)をかけ合わせた造語です。「より自然に、やさしく、心地よく」というコンセプトコピーを表現するために、丸みを帯びたシルエット、ジェントルカラーのボトルデザインを採用しました。また、忙しい毎日を送る人が片手で容易にフタを開閉できるようなキャップを採用しています。シンプルな処方、シンプルなボトルデザインなので、年代や性別に関わらず、幅広い方にお使いいただけます。シェアコスメとしてご家族で使っていただけるとうれしいですね。
どんな時代も、自分らしく輝くために
編集部:では最後に、エタリテ ナチュレスを通して届けたい想いを教えてください。
開発M:開発担当者としては、確かな技術と、責任あるものづくりをすることで、化粧品を通じて肌だけでなく、人の健やかな生活そのものに貢献していきたいと考えています。商品だけではなく、その先にある世界観、価値観を伝えることで、健やかさや豊かさ、生きることの美しさを届けたい。そういう姿勢を今後の商品開発でも大切にしていきたいですね。
マーケA:最近特に、美しさとはその人らしさだと感じる場面が増えてきました。ひと昔前のように多くの女性が目指す画一的な理想像があるのではなく、一人ひとりが自分の中のミューズとでもいうのか、それぞれ目指す理想像をもっているように感じます。化粧品は、そんな自分自身を大切に扱う時間を生み出してくれる存在といえるのではないでしょうか。前向きな気持ちを後押しし、新しい挑戦や出会いにつながる商品を生み出すことを、これからも目標としていきたいと考えています。
今回お話を聞いた人:ビューティケアマーケティング課Aさん(右)、ビューティケア開発課Mさん(左)
エタリテ ナチュレス
モイストアクアローション
<保湿液>
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