
<米井先生インタビュー①>老化について学ぼう
アンチエイジングリサーチセンター教授 米井嘉一先生
にお話をお伺いしました。
3回に分けて紹介していきます。今回は第1回目です。
アンチエイジングリサーチセンター教授 米井嘉一先生
にお話をお伺いしました。
3回に分けて紹介していきます。今回は第1回目です。
目次
ー先生は長い間、老化研究に携わっていらっしゃいますが、アンチエイジングの分野の研究を始めようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?
<米井先生>
長い間患者さんと向き合っていて、なんか最近「歳ですね」っていうその言葉でごまかしたくなかったというのがあります。
老化するのには何か理由があり防ぎようがあるのではないかと、追求してみたいと思ったのがきっかけです。
ー年齢はだれでも平等に重ねていくものですが、同じくらいの年の人でも見た目や身体の元気さにずいぶん差があると感じることがあります。
老化の速度というのは人によって違うのでしょうか?
老化によって見た目や身体の機能が衰えていくのは避けることはできますか?
<米井先生>
はい、避けることはできます。正常な老化、避けがたい老化というのは誰にでも起こるし、それはしょうがないのです。しかし、多くの方に何らかの病的な老化が身体に起きる、それは人それぞれ異なります。だから、その原因をつき止め、それに対応していくことで老化を遅らせることができるのです。やっぱり個人個人、老化の仕方が違うわけですよ。だから、その個人に合わせて対応していくってことが重要なんです。
正常な老化 | 年齢相応のゆるやかな変化 →誰にでもおこる、避けられない変化 |
病的な老化 | 生活習慣などで加速された変化 →自分次第で遅くできる。 「個人差」が非常に大きい。 |
ー老化には正常な老化と病的な老化があり、
正常な老化は避けられないが、病的な老化は避けられる。
病的な老化の原因に対応すれば、老化を遅らせることができるというのは、とても心強いですね。一度体が衰えてしまっても、何らかしらの原因になっているものを取り除けば、元に戻すことはできるのでしょうか?
<米井先生>
そうですね。その原因を取り除けば、それは元に戻る。我々は機能年齢という評価をするのですが、機能年齢の老化予防っていうのは可能だし、機能的な年齢の若返りというのは可能なんです。機能が落ちるイコール機能年齢が老化するということなのですが、それ自体を若くする、あるいは老化を予防することは可能です。
原因を取り除けば元に戻る。 |
機能年齢の老化予防や若返りは可能 |
病的な老化には個人に合わせた対応が重要とのお話しをいただきましたが、誰にでも通じる基本的なことがあれば教えてください。
<米井先生>
我々は老化を促進する危険因子というものを評価しています。分子レベルで老化を促進するのは、一つは酸化ストレス、もう一つは糖化ストレス、それから我々免疫ストレスいう言い方をしていますが、外から病原菌によって攻撃されると炎症を起こします。炎症も老化の危険因子と言えます。さらに心身のストレス、5つ目は生活習慣です。そういうものが原因に、病的な老化を起こしていくと考えています。
①酸化ストレス |
②糖化ストレス |
③免疫ストレス(炎症) |
④心身のストレス |
⑤生活習慣 |
ー体の中で分子レベルで起きる危険因子が「酸化・糖化・炎症」の3つ。
そして生活の中で気を付けておくべきなのが「ストレス」「生活習慣」ですね。
老化の危険因子は、それぞれが影響しあうことはありますか。
<米井先生>
酸化ストレスというのは糖化ストレスを助長します。お互いに悪くし合う、だから両方もあると大変なことになる。もう5足す5の10ではなく、その相乗効果で25になってしまうイメージです。
ーどれかを気を付けるだけでなく、総合的にケアしていくことが必要なんですね。老化には個人差があることや対策することによって若返りができること、また老化対策として気を付けるポイントや総合的にケアすることの大切さを教えていただきました。私たちも日々の生活で意識したいと思います。
米井先生インタビュー②、③をお楽しみに。
<米井先生の著書のご紹介>
最新刊「糖と脂で、体は壊れる」(池田書店)が発売されました。
疲労、病気、老化の原因「糖化」の正体についての最新研究について記載しています。
リンクをコピーしました